欧風家庭料理のお店、トータルビューティーサロンゆう尾張旭店

　まずはお店の外見を見ていただきたいと思います。

　Googleマップのストリートビューのスクリーンショットですが、お庭に植えられた木の向こう側に、温かみのあるお店が覗いて見えると思います。ベッドタウンの一角にあるこのお店は、町の中では少し異次元のようです。しかし、こだわりぬかれた店舗のデザインから、まるでヨーロッパの家庭にお呼ばれされたかのようなひと時が演出されていました。

　奥行きもあり、駐車場もありました。ひろく、くつろげる空間です。お店に入るまでの数分、ドアの前に敷かれた石畳が、日本にはない靴音を聞かせてくれます。扉の向こうからは温かいひとの声と、ハーブと肉の脂の匂いが漂ってきていました。

　残念ながら料理の写真はありません。このお店は実際に食事をするところではなく美容室だからです。しかし見た目は完全に洋風のご飯が出てきそうなのでかまわず書きます。

　料理としてはヨーロッパ地方、それもフランスの田舎風の料理がメインのようでした。メニューを眺めると「ワイン煮」というフレーズがいくつか散見されます。どれも時間をしっかりかけて作られるもののようです。定番の人気メニューだという「豚の白ワイン煮」は絶品！　値段は1800円と少々お高めですが、広く深い器にごろごろと盛り付けられて出てきます。量としては、ふたりで食べてもお腹がいっぱいになる程度。四人家族で手を付けてちょうど良い分量かと思われました。また珍しいのは、赤ワイン煮ではなく白ワイン煮だという点です。にんにくとハーブ……特にバジルの香りが強く、トマトは使われておりません。まさに欧風、ご飯よりもバケットに合う料理です。さらに言えばビールよりもワインが欲しくなります。

　どの料理も値段が高く量が多いです。少人数の客に向けて、メニューにはハーフサイズ承ります、と書かれていました。しかし、ピザだけはハーフサイズではなくMとSというサイズです。このお店には厨房に窯があるようで、窯焼き独特の良い香りがピザ生地をつつんでいて非常に美味。しかし、種類は多くなく、マルゲリータピザと「本日のピザ」だけのようでした。

　わたしが食べた「本日のピザ」はベーコンとサツマイモのピザでした。甘めのトマトベースのソースに、小さく角切りにされたベーコンと一口サイズで薄めに切られたサツマイモがよく合うピザでした。ベーコンの塩気とサツマイモとトマトの甘さが合います。これはリピート確実……と思いましたが、店主によると「サツマイモはひとから貰ったもので……次にいつ手にはいるかどうか笑」とのこと。ちょっといいサツマイモのようでした。たしかに、見た目が普通よりも黄色が濃かったような？

　お酒も置いてあります。ということはつまり、おつまみもそろっています。オリーブやピクルスが特に豊富です。どれも自作とのこと。珍しい「桃のピクルス」というものをいただきました。オリーブや梅よりもサクサクとした食感が強く、しかし噛むたびに音が鳴るような固さはありません。酸味と甘みの具合もやはりちょうどよく、信頼できるお店だなあと感心。ベーコンのマスタード和え、コンフィ数種、燻製サラダなど気になるメニューもたくさん。チーズ盛り合わせは、たびたびラインナップが変わるのだそう。季節によって、そのときお勧めしているワインによって、チーズも変えているとおっしゃっていました。

「基本的に料理オタクなんだと思います。だから、あたらしい料理を考案したくてしかたがない。次の季節、次の次の季節のことを常に考えていますね。嫁には呆れられますが笑」

　とはいうものの、こだわっているだろうピクルス各種は奥さんの手作りとのこと。奥さんも立派な「料理オタク」なのではないか……。そんなことを思いながら、お会計をお願いすると、奥さんが小さなメニュー表を持ってきてこうおっしゃいました。

「よろしければ食後のお茶はいかがですか？　お時間がある方にはサービスさせていただいてるんです。手作りですが、マドレーヌとクッキーも添えてます」

　なんて凝ったお店だろうか。お茶は紅茶が数種。そのなかのレモングラスティーを注文しました。マドレーヌとクッキーはチロルチョコより少し大きいサイズの、食後には嬉しいサイズ。甘党ではないわたしですが、マドレーヌとクッキーどちらも美味しく食べれました。レモングラスティーの香りもよく、気分よくお店を出ました。

　その日はふたりで訪れ、お会計は12000円。かなりお腹いっぱいになったので、三人でほとんど同じ量を注文しても、足りたんじゃないかなあ。まあここ飯屋じゃないけど。